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Channel: Akech_ergo’s diary
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リターンを考えて政策を決定してもよい。

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吉村大阪府知事日本維新の会)のツイッターでの発言がホッテントリに上がっていた。

出産費用全額の公的扶助を訴えるもので、その根拠の一つとして、「投資と見ても最も効果が高い」と主張している*1

 

b.hatena.ne.jp

これについて、「投資効率で政策を決めるのはいかがなものか」「もしリターンが少ないと見れば、福祉を切り捨てるということか」という批判がある。それらの批判にも一理あるとは思うものの、僕としては投資効率が良い政策は行って良い(行うべきだ)と考える。以下その理由を述べる。

なお、僕は政策一般についての話をしようと思っているけれど、福祉政策に限った話としても、投資効率が良い政策を退ける理由はないと思っている。

 

理由1.投入できる資源は有限であるから、効率は重要である。

当然だが、無制限の社会福祉は実現できない。基本的に政府の機能は再分配であるので、集めた以上の支出はできないし、支出を増やすということは収入も増やさなければならない*2

通常は投入できる資源が有限であり、達成したい政策目標は無数にあるのが普通なので、優先順位をつけなければいけない。そのときに何を優先するのかは信じる思想によって変わってくるだろうが、社会的なリターンが高いというのは優先順位を上げる根拠になるだろう。(これは、裏を返せば税金を無駄使いするな、という主張になる。)

 

理由2.リターンの見込めない福祉政策を正当化するロジックは別にある。

本ツイートに対する懸念として、「(福祉)政策にリターンの概念を導入すると、リターンの見込めない福祉政策がカットされるのでは」というものがあった。もちろん、リターンが見込めないとしても実施すべき福祉政策というものはある。そういった福祉政策は、たとえ単独では赤字であろうと維持するべきである。なぜならば、日本は憲法生存権をはじめとする基本的人権を保証しているためである。

先程の優先順位の話でいえば、「憲法で規定されている」政策は無条件で優先順位が最高になるので、リターンがあろうとなかろうと実施しなければならない。

 

つまり僕の主張は、「法でやると決まっていること」はまず行う必要があるが、「法でやってもやらなくても良い/やり方に裁量が認められていること」については、費用対効果や重要性、緊急性を勘案しながらどれを行うかを決めるべきだ、というものである。わりと常識的な主張であると思うがいかがだろうか。

 

以下余談。

ところで吉村知事のツイート、『国が出産費用を全額もっても~~』と述べている。氏は現職の知事なのだから、投資効果が高いのであれば、まずは大阪府が率先してそうした政策を実現すれば良いと思うのだがいかがであろうか。現に、コロナ対策では大阪モデルと称して様々な施策を行っていたわけだし。

ちなみに、ちょっと調べたところ、大阪市国民健康保険の加入者は出産時に40万円強の一時金が支給されるようである。また、国民健康保険被保険者が出産したとき、世帯主に42万円が支給されるようである*3。出産費用の公的扶助自体、すでに国民皆保険制度の中である程度達成されているのかもしれない。

*1:本来であれば、この主張自体の当否(本当に出産補助がをするとリターンが大きいのか)は吟味する必要があるため、その評価は保留する。本記事ではあくまでも、リターンを評価軸に用いることは妥当か、という論点に絞っている。

*2:僕は財政均衡論者ではないので国債/地方債を発行することで賄えるのであれば発行すれば良いと考えているが、それにしても限度があり、無限に発行することは出来ない。

*3:リンク先は大阪府吹田市のものだが、ぐぐると東京都調布市兵庫県西宮市など、他の自治体のウェブサイトでも同様の記述が見られる。


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